元サークル仲間であり同業者でもあり、もしかしたら将来の取引先になるかもしれないうさこ社長が死にそうなくらい仕事に追われている。 確かに今はどこでも繁忙期だけれど、それだけでは片付けられないくらい尋常ではない。
僕よりも若いのにこの業界で何歩も先のキャリアを積み、さっさとドロップアウトして正規の有限会社を立ち上げ、きっと僕の何倍もの仕事を涼しい顔でこなして、挙句の果てに平日夜やオフの日にはスポーツも嗜んでいるような人なのだが、さすがに限界はあるようだ。どうしてまあどこもかしこも無茶な日程で年度末にねじこんで来るのか。
どうしてそんなに生きいそぐの?って思えてならない。
今のすごい回転の世の中見てたら。
全くその通りだと思う。何でもいいから大量生産すればいい時代はとっくに過ぎて、今はその質が問われる時代だ。作り手は使用者の立場に立って、本当に必要なものを最高のクオリティで提供することに腐心すべきだ。とは言え、スタッフの人数も切り詰められているのでクオリティを維持するだけでも大変なのだが。リストラがいくら進んでも新規雇用が確保されるわけではなく、単に社に残った人々が深夜残業するようになっただけなのだから。時計の針はぐるぐると狂ったように回り、気が付いたら寝ずに次の朝を迎えている。
ぶっ壊れそうなのを心配してメールを送ったりするなとのことなので、ここでひっそりと心配したりエールを送ったりすることにしようと思う。何度も身体を壊している僕から言えることは、結局最後に自分を守るのは自分でしかないこと。社長と言う立場から雇われエンジニアよりは責任も重いのだろうけれど、最後の一線でどうしても退かざるを得ないときは迷わず逃げてください。命さえあれば、また新しいクライアントを捕まえることは出来るのだから。