幸せの形

あなたと仲良くなって 2 年と 7 ヶ月が経とうとしています。
覚えていますか?
最初は何故かお互い敬語だったことや、今とは呼び方も違ったこと。
価値観や物の考え方があまりにも似ていて笑ったこと。
ちょっと年上の僕に子供扱いされないようにと、精一杯頑張ってくれていたこと。
お互いにとって初めてのことをたくさん積み重ねたこと。
出会って 3 ヶ月で付き合い始めたのにそれから 9 ヶ月も会えなくて、再会の日は結局 1 年ぶりになってしまったこと。
不思議な関係だと思います。恋人同士なのに必要な時は兄妹代わりや一番の相談相手として振舞うこともあって、聞かされるのが辛い内容の相談にもお互いに真剣に乗ったり。連絡を取らなくなることはあってもなぜか揉めることは一度もなくて、すぐに元に戻ることができたり。いずれにせよ、他の誰でも代わりにはならない特別な存在なのは、今もこれからも変わることはないでしょう。
最初から最後まで一度も喧嘩もせず良い思い出しか残っていないので、僕はまだ、いつかまた何かが始まることを期待しています。元々遠距離なので別れた実感がそれほど強くないのも拍車をかけている気がします。相変わらず結構電話はするし、電話している途中であなたが安心して眠ってしまうのも変わらないし。今幸せが必要なあなたと将来幸せが必要な僕がさんざ話し合って納得ずくで決めた形は、世間の常識とは少し違うかも知れないけれど、幸せの形の一つだとは思います。
ただ、そうやって安定する位置を見つけてしまったことで、今後は恋人に戻ることはないのかも知れません。今思うと、最後に一緒に出かけた時にいつもより少しあなたのテンションが高かったのは、恋人でいる間にしか出来ないことでやり残していたことを全部やってしまって、僕が後悔しないようにしてくれたのかなと思えます。つないだ手を離したわけではないけれど、多分次に会う時にはこれまでとは少し違う距離を実感するのでしょう。これまでは二人きりのプロローグを楽しんできたわけですが、これからはお互いに登場人物を連れてきて、和やかな本編へ。