βαρβαροι

色々考えて物を言っても、彼らの意図に合っていなければ無駄なのだ。
それなら初めから何も考えずに言われるように従っていた方がマシとも思えるが、そもそもその内容がどうしても気に入らない。だとすればお互いに無視しあうしかないのかも知れない。
遠く離れた国の異民族のように、お互いその存在を知らないままの方が幸せだと思う。

恋愛観察

胸をときめかせて恋をするのは乙女の特権だと誰かが言っていた。
実際、平凡なルックスの27歳の男が恋愛をしようと思っても、まずはそれなりの経済力をもっている必要がある。ポジティブなことを語るためにはある程度の将来性も欲しいし、何よりそれなりに暇な時間も必要だ。その前に普通に暮らしていると同世代の女性との接点はまるでない。
考えてみれば高校生の頃なんかは天国だったと思う。クラスメイトというだけで一緒の時間を過ごす口実になるし、一緒にいるだけでお互いのステータスはそう気にせずに仲良くなれていたわけだし。いつからこんなに打算的になってしまったんだろう。
とりあえず今は現実を見て、嫌でも諦めてでも進んでいくしかない。恋する乙女を横から眺めているのは楽しいけれど、僕に幸せが降ってくるわけでもないし。人は人、自分は自分、羨んでも仕方がない。

意気地無し

最近毎日死にたくてたまらず、面倒くさくない死に方ばかり考えている。
でも、もうこんな時間だし、朝までに身辺整理も出来そうに無いから、途中で面倒になって寝てしまう。仕事の電話で叩き起こされたら、また疑問を持たずに働けるはずなので、今日はそれでいいのかも知れない。
せめて少しの準備ができる時間があればいいのに。

口癖

今日言われてみて気づいたが、「まあ、いいや」「もう、いいよ、わかったから」のような、諦め系の言葉が口癖になっているらしい。

法治国家、無法地帯、空気男

例によって毎日5時を過ぎて寝ているものだから、一日中本調子ではないような状態が続く。僕の周りで労働基準法が守られている現場なんて見たことがない。法律は結局既得権益を守るためのもので、個人の尊厳や権利、そして自由等は守ってくれないのだ。
このところ在宅で仕事をしているのだが、午前9時~午前4時くらいまで週7日働いて、夜明け前に入浴したりコンビニに行ったりして命をつないでいる。誰とも連絡が取れないので、櫛の歯が抜けるように、毎日少しずつ友人がいなくなっていく。
最近業務の成果は過去に例を見ないほどバグだらけでどうしようもない。幾ら働いても時間を消費するだけで、今週は全く建設的な結果が得られていない。そろそろ使えない人間の烙印を押され、報酬か社員の身分のどちらかを剥奪されるのだろう。
そのうち、会社、元友人、そして他の誰の記憶からもいなくなって、その時僕には何が残っているんだろうか。大槻ケンヂが空気男と言ったのは、こんな人間のことだろうか。まあ、どうでもいいけれど。

8日前

夜中に叩き起こされたら路上だった。雨が降っていた。
多分吐いていたと思うが、その後に警察に連れて行かれたようだ。
知らない町だった。確か同級生に送ってもらっていたはずなんだけれど、なぜそこにそうやっていたのかが思い出せなかった。
警察に行ったはいいけれど何を話したのか覚えていない。確かタクシーに乗せられた気はするがよく覚えていない。
次に起きたら、駅前の歩道に顔を付けて寝ていた。もう朝の9時で人通りは多かったけれど、誰も声もかけてくれなかった。パチンコ屋の裏手に行って自販機でジュースを買って吐いた。ペットボトル3本分くらいそれを繰り返し、3時間くらい歩道で寝た。
おそらく送ってくれたであろう彼にお詫びの電話を入れたけれど通じなかった。
電車に乗り家に帰った。
自分みたいな奴は、そのままその辺で野垂れ死んでしまえばよかったのにと思った。

独り立ち

今思えば、始まる前から終わっていたわけで、見ないように目をつぶっていただけなんだろうと思う。
反省するところは幾らでもあるし、何度も同じ過ちばかり繰り返しているとも思う。
僕が元気をもらってばかりで、ちっとも元気を返せなかったのが一番良くないところだし、今の生活をしている限りはそれは誰と過ごしても変わらないんだろう。
笑いたくても笑えない生活を乗り越えて、笑いたい時に笑える生活を手に入れるまで、しばらくは誰かに頼るのは止めなければならないんだろう。そうでなければ共に歩こうとしてくれる人に失礼だ。

不思議なあだ名の君へ

君を間接的に殺したのは僕なのかも知れないけれど、君が果たせなかった分まで幸せになろうと思っていた。心配しなくても、彼女はきっと幸せだよ。僕のことなんか忘れて、幸せに過ごしているはずだと思う。多分君のことは彼女は一生忘れない。だから君の勝ち。そして僕が幸せになってはならないのは、君を殺した報い。
僕には君ほどの勇気はないから、七階建ての屋上から飛んだりせずに、まだここにくすぶっている。でも、そうやっていることにどれほどの意味があるのかな。
君を乗り越えてここまできたつもりが、絶対に追いつけないほど遠くまで追い越されてるんじゃないのだろうか。自分の意志で自由な空に飛べた君と、寝る時間も惜しんで何も考えずにただ機械として働く僕では、どちらが人間らしいかなんて、初めからわかってるじゃないか。

逆マッチポンプ

自分で畑を耕して種をまき、自分でそれを踏みにじって殺していく。
絶対に何も生まれてくるはずはないし、それについて自分で文句を言うのは浅薄なことだ。
中国人が日本人を罵っているとの新聞記事を読みながら考える。
これからも彼らは我々を許すことはないだろうし、それと同じく僕は幸せになることもない。
同じ過ちを繰り返しているのかもしれないが、そういう生き方を選んだのだから、黙ってそこに骨を埋めるべきなのだ。

時が抜け落ちて明日

50日間の出張は終わった。
最近いいことは一つもないし、帰って来ても何かいいことがあるわけでもないけれど、久しぶりの自宅。
詰まってしまっている配管に塩素を流し、家出少女が撒き散らして行った絨毯のタバコの灰を掃除して、宛先が間違って届けられた郵便物に悪態をつき、過ぎた日付の同窓会の誘いの葉書を捨て、ベランダで枯れている観葉植物に謝り、何も変わらない日常に戻ろうとする。
疲れた。眠るヒマなんかないのに寝てしまう。そんなに寝たいなら一生眠ってしまえばいいのに。