夢の風景 (16)

久しぶりに君に会ってキスをしたけれど、お互い微妙な感じがして、ぎこちなくしか笑えなかった。
君は自分の手を見つめて白すぎると何度も口にするが、僕は君の顔色が悪すぎる事の方が気になってしょうがない。笑顔なのだけれどとても悲しそうに見える。
それに、僕はまだ君に隠していることがある。今日こそはそれを伝えなければならない。
「実は、今まで話してなかったことがあるんだ」
『なんだ? たいていの事じゃ驚かないぞ』
「聞いて気持ちのいい話じゃないかも知れないし、また悲しませる事になるかも知れない」
『……』
夏なのにやたらと涼しくて胸騒ぎがした。どこかに向かわなくてはならない気がして、それがどこなのかもわからないまま歩き回った。
結局時間切れで、また言えなかった。悲しそうな顔だけがまぶたの裏に残った。