今日事務所に戻ると、数箇所に大きな文字で張り紙がされていて、「率先して行動」「指示前に行動」「整理整頓」と書かれていた。整理整頓は当たり前だけれど、他の二つはどうなのだろうか。
今の社内では僕は上司の忠実な駒になることが求められているわけで、僕のような現場の最底辺の駒が率先して指示前に行動してしまうと、却って上司は困ってしまうのではないだろうか。まあ、明文化されていないだけで、言外に何を意図しているかはわかる。現状をもう一線踏み越えて、上司が今何を求めているかを敏感に察知して、指示される前に成果を出してそれを報告することが必要だと言われているのだ。
僕の出し得る答え
僕の身体は一つしかない。
僕の心も、多分一つしかない。
幾人もの人が僕に相反する事を同時に命令し、明示的あるいは暗示的に僕に最大限の誠意を見せた対応なるものを要求している。もちろん、強制力として彼らの意に反する選択をした場合にはペナルティーが用意されている。
振り返ってみれば
不安定ではあるが生活は出来ている。
好きなものを食べられるし、自分の甲斐性で広めの部屋を借り、楽器を並べる余裕はある。
とりあえず五体は満足だ。童顔ではあるが容姿は酷いわけでもない。
何でも相談できた友人たちも、深く愛し愛された恋人たちも、ここ10年以上ほとんど途切れることなく誰かがそばにいてくれた。
考えてみれば、それなりに幸せな人生だったと思う。
僕はまだ支えてくれた人たちに何も恩返しが出来ていないけれど、このまま逃げ切ってしまえたらなんていう無責任なことを考える。
逃げたその先に何があるわけでもなく、僕らの落ちて行く先はあそこでしかないんだけれど、逃げ込んだらそれで救われる気がするから世界には無数の宗教があるのだ。スピノザの定義する神は、唯一その真理という姿でのみ存在する。皆並んで落ちていくけれど、場所によって地面の高さが違って、叩きつけられるタイミングが違うだけだ。
風船を内側から眺めよう
ボウリングで 155 を出すようなそれなりに見える一日。
冷蔵庫と戦う電気掃除機に勝ち目はないなんて、あなたに意味不明なことを言って煙に巻く。きっと箒とチリトリなら五分五分だろう。
死神に憑かれた業界
功徳小屋より。
どう考えても身体を傷めつけなければ渡って行けないこの業界で、次なる犠牲者が出たのかと心を痛めていたところ、それほどでもなかったようでなぜかこちらも一安心。シャレじゃ済まなくなるケースばかり見ていると、何事もなかったというだけで人の幸せを見つけた気分になってしまうけれど、これは絶対に何かに騙されているに違いない。