時が抜け落ちて明日

50日間の出張は終わった。
最近いいことは一つもないし、帰って来ても何かいいことがあるわけでもないけれど、久しぶりの自宅。
詰まってしまっている配管に塩素を流し、家出少女が撒き散らして行った絨毯のタバコの灰を掃除して、宛先が間違って届けられた郵便物に悪態をつき、過ぎた日付の同窓会の誘いの葉書を捨て、ベランダで枯れている観葉植物に謝り、何も変わらない日常に戻ろうとする。
疲れた。眠るヒマなんかないのに寝てしまう。そんなに寝たいなら一生眠ってしまえばいいのに。

先輩の座右の銘

この職場には村上春樹かぶれがいる。
労働しつづけるんだよ。
なぜ労働するかなんて考えちゃイケナイ。

信念を持って労働できるというのは、善きにつけ悪しきにつけ尊敬できることだ。
隣の席でいつもこう唱え続けている先輩は、そろそろ倒れてしまいそうだ。

減俸

去年の今頃は月 20 日は会社に泊まりこんで仕事をしていた。何としてでも月内に支払をしてもらうために、本当に死ぬ気で働いた。しかし、会社が潰れる直前だったので結局その給料は支払われることはなかったのだけれど。
それに比べれば今は楽なものだ。忙しいとはいえ、丸一日の休日はなくてもほぼ毎日部屋で寝ることは出来る。それを削れば、月内にもっと仕事をこなすことは出来るはずだ。少なくとも去年の自分はそうしていたと思う。
一生懸命働いても働いても仕事に追われ続けるのは、甘んじて受けるしかない。毎月給料が出ている以上、赤字で腹を痛めているのは僕らではなく経営者なのだから。来月から全社一斉減俸になるのは売上が立たないからであり、それは現場が報いを受ける部分だ。
小言を言われるのすら嫌なら、死ぬほど働けばいい。誰にも文句を言われなくなるまで死ぬほど働いて、本当に死んでしまえばいい。死人に口なしとはよく言うが、死んでしまえば何を言われてももう知ったことか。働け、働け。

砂を噛み続けた果てには

今日事務所に戻ると、数箇所に大きな文字で張り紙がされていて、「率先して行動」「指示前に行動」「整理整頓」と書かれていた。整理整頓は当たり前だけれど、他の二つはどうなのだろうか。
今の社内では僕は上司の忠実な駒になることが求められているわけで、僕のような現場の最底辺の駒が率先して指示前に行動してしまうと、却って上司は困ってしまうのではないだろうか。まあ、明文化されていないだけで、言外に何を意図しているかはわかる。現状をもう一線踏み越えて、上司が今何を求めているかを敏感に察知して、指示される前に成果を出してそれを報告することが必要だと言われているのだ。

“砂を噛み続けた果てには” の続きを読む

死神に憑かれた業界

功徳小屋より。
どう考えても身体を傷めつけなければ渡って行けないこの業界で、次なる犠牲者が出たのかと心を痛めていたところ、それほどでもなかったようでなぜかこちらも一安心。シャレじゃ済まなくなるケースばかり見ていると、何事もなかったというだけで人の幸せを見つけた気分になってしまうけれど、これは絶対に何かに騙されているに違いない。

“死神に憑かれた業界” の続きを読む

一区切りのはずなのに

本来四月中に済ませておくはずだった仕事がやっと今日マスターアップ。すなわち、もちろんゴールデンウィークと呼ばれる期間も毎日昼に夜を継いで仕事を進めていたわけで。
今週も途中で体調を崩したのを金~日の二徹で取り返し、検品担当にまで日曜夜から手伝ってもらって明日の納品に間に合わせた。明日の午前中にドキュメントを完成させればこの案件は一応一段落。
しかし、今日の時点で既に別の案件に火がついてしまっているので、水曜まではまた大騒ぎだ。休出したら代休が取れたりする会社もあるのかも知れないけど、僕はそんなに人材豊富な大手に勤めた事がない。ただでさえ僕は身体が弱くてよく病院に行ったりしているので、これ以上休みなど申請するのが申し訳ない。
とりあえず、今日だけは普通に寝てもいいですか?
最近布団で寝ることがまずなくなってきていたので今日は布団で寝よう。
パソコンの前の椅子で居眠りして、フローリングに転げ落ちたら仕事に戻る、というのが去年の11月頃からずっと続いている。完徹がデフォルトになるスケジューリングはそろそろ辞めたいんだけれど、もしかしたら一生こうなのかも知れないので、そろそろ諦めるべきかも知れない。収穫としては、人間寝なくても結構肉体的には平気なんだと言うことが判った。記憶障害とか言語障害は色々あってそれなりに大変だけど。
前から言っているけれど、こんなペースで持久走を続けるのは僕には無理だ。早くゴールが来るか、ドクターストップをかけてもらえるか、嵐で競技が中止になるか、なんとかならないものか。

トレード

僕の知らないところで話が進んでいたらしく、昨日いきなり名古屋行きを命じられた。昇級ではあるのだけれど、事前の打診がなかったので驚いた。突然この時期に異動とは。
入社時に転勤ありという条件がなかったもので、突然「君を名古屋でもらうという話になった」と辞令が出てもすぐに異動するのは難しい。既に部屋も用意されているようなので、その契約の時点で連絡があればもう少し準備もできたのに。
長期出張の名を借りているが、これは事実上の転勤だろう。今住んでいる所は結構気に入っているけれど、なし崩しに名古屋の人になるのだろうか。防音室の存在を前提でそろえた音楽関係の機材はどうしようかと思う。先週修理に出した機材の引取りにも行けなくなりそうだし、事前の告知がないと色々と困ってしまう。
まあしかし、企業は営利追求団体であるわけだからして職場ではプライベートの事情は関係ないし、上司には部下の異動を命じる権限がある。キャリア志向のサラリーマンなんて一生こんなものだろう。これが嫌なら、自分が人を使う立場になればいいだけの話だ。

徹夜スパイラル

今日もスケジューリングがうまく行かず、今週二度目の二徹だ。

例によってうさこ社長も忙しいようだ。
うさこ社長はどれほど忙しくてもほとんど徹夜はしていないようだけれど、それはやっぱり本人が自負しているようにディレクション能力に長けているんだろうと思う。日記で見てわかる分だけでも僕よりも全然仕事量が多いのによくもまあ回るなと。

それに引き換え僕はその辺りがからきし駄目だ。いつもナイフエッジ状態でスケジュールを組んでいるから、今週みたいに先週の納品物が原因不明のバグだらけだったりすると途端に徹夜だらけになる。二徹目からは成果物のクオリティが一気に下がるのであと5時間で締め切りの物件はおそらく大惨事で、来週もまた大変なんだろう。連休でもあれば締め切りの線引きをごまかせるのだけれど、今回は初めから深夜も土日も線が引かれているからあまり意味はないんだろうな。

複数のタスクを一人で同時に回すのは社会人なら当たり前だろうけれど、それぞれの顧客に対して納期をずらせないスケジューリングというのはどうなんだろう。

ちなみに、僕のスケジュールはだいたいいつも下記のような形になっている。

  • 物件1 - 工数 5人日 – 4/1 着手 – 4/5 納期
  • 物件2 - 工数 10人日 – 4/1 着手 – 4/12 納期
  • 物件3 - 工数 5人日 – 4/8 着手 – 4/12 納期
  • 物件4 - 工数 0.5人月 – 4/15 着手 – 4/30 納期
  • 物件5 - 工数 1人月 – 4/1 着手 – 4/30 納期

全部納品先が別なので、それぞれの顧客の目には全く普通のスケジュールに映るが、実際には 4 月中に営業日 21 日に対して約 50 人日の工数をこなす必要がある。うちの会社は一人一人が全員この状態である。この場合、8 時間/日 勤務を基準として計算すると 400 時間。土日祝も休まず 30 日フルに使って 1 日あたり 13 時間 20 分。実はこの程度ならどうってことはないのだけれど、これに「大至急」の修正作業が重なってくると労働時間はあっという間に 20 時間/日 を超える。

初めからスケジュールを緩めにとっておけば良いではないかと言われるかも知れないが、およそ元請から丸投げされてくる段階で、要求仕様が未定で作成中にどこまでも膨らむにもかかわらず、なぜか予算の限度と納期だけは既に決まっていることが多い。それに輪をかけて、僕には既に担当している別物件があるので納期を長く取りたいという訴えや、プロジェクトへの人員追加の稟議は元請の都合により却下されることが多い。

こういった問題は外注をやっている以上どのクライアントにも共通に存在し、ある意味諦めるしかないことだと思っている。(参照: 真・コンピュータ用語辞典外注」の項、および「システム開発」の項)
うさこ社長や他の下請けベンチャーの SE は納期問題をどうやって解決しているのだろう。もしかして、僕の周りのこの常識は世界の非常識なのだろうか。